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2017/02/17

安定の味 2017 冬のおもひで 後編

【安定の味 2017 冬のおもひで 前編】

からの続き



大将は大将さ!何も変わっちゃいなかった!

それをこのチャーハンが証明してる!

なーんて思ってたら問題のあれが目の前に。

そう。ラーメンだ。


「あ!・・・ない!赤いの・・・ない!」


そう、コチュジャンは入っていなかった。

僕はほっと胸を撫で下ろした。


やはりあの赤いのは、大将の一時の気の迷いだったのかもしれない。



「ちょっとやりたくなったんだよね、大将。

すごく流行ってるもんね。

でもね大将。そんなことしなくてもいいんだよ。

僕は大将の作るこの豚骨スープががが、な、なんじゃこりゃあ!!!」


驚愕である。


スープを一口飲んでみるとそこには

豚骨とは別の世界が広がっていた。



あれ?あれれ???

これは・・・この味は・・・ええ???



あまりの驚きに顔に出てたんだろう。

大将が声をかけてきた。


大将「へへ、味が変わってっしょ?」

僕 「え?あ、はい。」

大将「へへ、色々入れとんの、豚骨だけじゃなくね、他の肉も。ミンチとかね。
   野菜とかもね、ちょっと香草入れたりね。香りがちがうっしょ。へへ。」

僕 「え?は、はあ・・・あの、とんこ・・・」

大将「ああ、最近はね、豚骨はね、あんまり入れてない。うん、へへ。」

・・・

・・



「へ、ヘらへらすんな~~~!!!

な~~~にやっとんじゃ!大将!!!

いいい入れてないって、なんじゃそりゃ!!!

あ、あんた、の、のぼり!豚骨ラーメン!!!

あんた、な、何屋さんだ!

こ、これ!豚骨ラーメンやなくて、もうほとんど

コン、コ、コンソメラーメンやないかい!!!」



驚天動地の大失望である。



早く気付くべきだった。

店に入ったときから、何だか別の香りがしていたことを。

大将の佇まいが明らかに洋風に偏っていたのだ。

大将はもうあのころの大将じゃないのだ。

おそらくもうあのラーメンは食べられないだろう。

だって、なにもかも変わってしまったのだから。



ねじりタオル、ぼろぼろのTシャツ、油膜のはっためがね。

深みのある豚骨スープ、そして僕の笑顔。

もう戻らないMemories


「なにやってんだよ、大将・・・

いや・・・何かあったんだね・・・

そうだよね?大将・・・」



その日のスープは別れの味がした。


もう僕は二度とあのラーメン屋へ行くことはないだろう。


さよなら・・・大将。



色々混ぜるとアラ不思議。コンソメスープの出来上がり。



次回

山場は終わったので、読んでも読まなくてもいい

【安定の味 まとめ編】

へつづく






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