からの続き
大将は大将さ!何も変わっちゃいなかった!
それをこのチャーハンが証明してる!
なーんて思ってたら問題のあれが目の前に。
そう。ラーメンだ。
「あ!・・・ない!赤いの・・・ない!」
そう、コチュジャンは入っていなかった。
僕はほっと胸を撫で下ろした。
やはりあの赤いのは、大将の一時の気の迷いだったのかもしれない。
「ちょっとやりたくなったんだよね、大将。
すごく流行ってるもんね。
でもね大将。そんなことしなくてもいいんだよ。
僕は大将の作るこの豚骨スープががが、な、なんじゃこりゃあ!!!」
驚愕である。
スープを一口飲んでみるとそこには
豚骨とは別の世界が広がっていた。
あれ?あれれ???
これは・・・この味は・・・ええ???
あまりの驚きに顔に出てたんだろう。
大将が声をかけてきた。
大将「へへ、味が変わってっしょ?」
僕 「え?あ、はい。」
大将「へへ、色々入れとんの、豚骨だけじゃなくね、他の肉も。ミンチとかね。
野菜とかもね、ちょっと香草入れたりね。香りがちがうっしょ。へへ。」
僕 「え?は、はあ・・・あの、とんこ・・・」
大将「ああ、最近はね、豚骨はね、あんまり入れてない。うん、へへ。」
・・・
・・
・
「へ、ヘらへらすんな~~~!!!
な~~~にやっとんじゃ!大将!!!
いいい入れてないって、なんじゃそりゃ!!!
あ、あんた、の、のぼり!豚骨ラーメン!!!
あんた、な、何屋さんだ!
こ、これ!豚骨ラーメンやなくて、もうほとんど
コン、コ、コンソメラーメンやないかい!!!」
驚天動地の大失望である。
早く気付くべきだった。
店に入ったときから、何だか別の香りがしていたことを。
大将の佇まいが明らかに洋風に偏っていたのだ。
大将はもうあのころの大将じゃないのだ。
おそらくもうあのラーメンは食べられないだろう。
だって、なにもかも変わってしまったのだから。
ねじりタオル、ぼろぼろのTシャツ、油膜のはっためがね。
深みのある豚骨スープ、そして僕の笑顔。
もう戻らないMemories
「なにやってんだよ、大将・・・
いや・・・何かあったんだね・・・
そうだよね?大将・・・」
その日のスープは別れの味がした。
もう僕は二度とあのラーメン屋へ行くことはないだろう。
さよなら・・・大将。
色々混ぜるとアラ不思議。コンソメスープの出来上がり。 |
次回
山場は終わったので、読んでも読まなくてもいい
【安定の味 まとめ編】
へつづく
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